北の大地北海道の札幌にはあたりまえだが美味しいお店が沢山ある。あり過ぎるからどこに行って良いのか迷ってしまう。一人なら尚更だ。心地良く過ごせるお店は限られてくる。
新しく開拓しようと思っても住んでいるわけでもないし、いつも訪れるわけでもない。そんな時に、ここに行けばまず大丈夫というお店がちゃんとあるととてもありがたい。
北海道で最古の商店街の一つ、今年で145年を迎える狸小路の雑居ビルの中に店を構えている一軒の居酒屋、『魚菜』はまさにそういったお店だ。
「魚菜」に行けば失敗しない
「魚菜」は狸小路5丁目の狸神社のほぼ正面のビルの中
札幌市営南北線大通駅ポールタウン狸小路より徒歩3分、すすきの駅からなら徒歩5分、狸小路駅からは200m弱。
その殆どが全蓋アーケードになっている狸小路商店街、その5丁目、狸小路商店街の守り神である『本陣狸大明神社』、通称『狸神社』が目印。
そのほぼ真正面、明るい照明が目立つサツドラことサッポロドラッグストアーの隣にあるのが結構年季の入っている三条三松ビル。
この雑居ビルには居酒屋やバーはもちろん、寿司に天麩羅、おでんに焼き肉、沖縄料理にタイ料理と飲食店がひしめいている。その4Fの一角にこの店はある。
これだけ色々なお店があれば万が一の臨時休業とか満席だったとしても潰しが効くかもしれないのだが、そんな時でもここ以外は結局行ったことがない。
「魚菜」は暖簾が印象的
三枚布の白地の暖簾は真ん中に赤い菱形がり、その中に横文字で『GYOSAI』、それを挟むように縦に筆文字で『魚菜』。何気ないデザインなのだが妙に印象に残る暖簾だ。
暖簾の上の木の壁には日本酒のラベルがアレコレと貼られている。『十四代』、『八仙』、『雁木』、『飛露喜』などなど期待が持てる。
こういったラベルをあちこちに貼っているスタイルのお店をよく見掛けるが決して嫌いではない。ただ貼られているようなレベルのお酒がないとそのガッカリ感は非常に大きくなる。
もちろんこのお店ではそんなことにはならないのでご安心を。但し、貼ってあるラベルのものが必ずしもそのままあるわけではないので、そんなところで残念にならないでほしい。
ちゃんとそれと同じかそれ以上に美味しい日本酒をその時その時で揃えていることだけは間違いがないからだ。
「魚菜」は20席ほどのこじんまりとしたお店
店内に入る。右に7人程が座れるL字カウンター、左の板の間小上がりは2人用卓が2つと4人用卓が1つで堀になっている。意外にこじんまりとしたつくりだ。
半袖鯉口のご夫婦とバイトの女の子の3人で切り盛りしている。このご夫婦の雰囲気や姿はなかなかステキで、それだけでも良さそうなお店だぞと思わせる。
外見って関係ないようでいて、実は関係があるとボクは思っている。もちろん単純な外見というよりも、滲み出てくる何かなんだけど。
それはさて置き、わかる方にしかわからないだろうが、ここの大将の姿は秋田の『酒盃』と倉敷の『鬼の厨しんすけ』の大将をいつも思い出させる。これもまあどうでも良い話だ。
店の雰囲気は特別凝ったものではなくごく普通だが、清潔で置かれている器や道具はどれも美しくそれがちょっとした店の良い雰囲気をつくりだしている。
そしてこじんまりとしているが故に、たとえ一人であったとしても心地良く美味しい料理とお酒を堪能できるというわけだ。
ところでここは予約は必ず入れた方が良い。満席で入れないこともしばしばあるからだ。わざわざ北の大地で行きたいお店に座れなかったら随分と凹むことになるから大注意。
「魚菜」おしながきあれこれ
「魚菜」の美味しい料理
筆で書かれたおしながきを見ると、どれもが美味しそうで本当に迷ってしまう。一人だと注文出来る数も限られるので組み立てが慎重になる。
定番の料理ももちろんあるが、行ったその時にしか食べられないものも意外に多くある。だから余計に迷うのだ。でも迷いながらどうしようかと組み立てるのも実は楽しいのだ。
おススメを尋ねるのは良いこと?悪いこと?
よくお店の方におススメは何ですか?と尋ねる人が居るが、あれはあまりよろしくないらしい。出している以上どれもがおススメだろう。まあお店にもよるんだろうけど。
もちろん今だからこそ食べられるものはおススメと言えるだろうけど、じゃあ定番メニューはおススメできないのか?といえば、そんなことがあるはずない。定番なんだから。
しかも好みは人によって様々だ。長く通って充分に大将に好みを知ってもらっていれば良いのだが、そうなるにはやはりそれなりに時間が掛かるものなのだ。
そうは言ってもつい聞きたくなるのだだ、長岡の美味しい鮨屋『鮨芳』に伺った際に、大将がこれを聞かれると本当に困ると言っていたのをいつも思い出して聞かないようにしている。
これが「魚菜」おススメ料理
それでもこのお店の定番のおススメを一つ挙げるならば、五品の『おまかせ料理』が良いかもしれない。刺身入り(2,800円より)とそうでないもの(2,400円)がある。
一つひとつの量は少ないながらも、これだけで何種類もの料理を試せるというのはそれなりに嬉しいものだ。
これも人それぞれだが、この内容でこの価格はどう考えても安い。
他には『店主におまかせ酒菜の盛り合わせ(1,100円~)』。これは確か『おまかせ料理」にも入っている。これも『酒菜』の名前の通りお酒にはピッタリだ。
あとは『珍味おまかせ三品盛り』。これも二種類(普通780円と特選1,200円)あるが、それぞれの三品の内容を伺って混ぜてもらうという我儘も聞いて下さったりする。
もちろんお通しもその時々で違うがちゃんとしていて美味しい。
他にも根岸の『鍵屋』で初めて食べた時のことが忘れられない『うなぎくりから焼き(一本480円)』があったり、
長岡の『魚仙』でこれも初めて食べて、その後簡単なので家でもつくるようになった『梅わさび(580円)』があったり、
まあどれを食べても外れはない。
「魚菜」のお酒の品揃えはとても良い
やはり札幌に来たならビールを最初に飲みたい。当然北海道の地で生まれたサッポロビール、その中でも北海道限定『サッポロクラシック』だ。
お取り寄せや北海道展などで購入して飲むこともできるが、地元の北海道で飲めばまた旨い。
日本酒は全国各地のものがその時々で色々と取り揃えられている。
毎回行く度に変わっているので選ぶのが楽しい。もちろんどれを頼んでも美味しい。北海道の地酒も置いてあるが、どちらかというと全国各地のものが充実している。
壁のコルクボードを見れば、お酒の銘柄が書かれた短冊が貼られているのでそこから選べば良い。冷で呑むも良し、錫のチロリで自分好みの温度にしてもらうも良し。
もちろん日本酒だけではない。焼酎も全国各地のものが色々と揃っている。いずれにしても様々な選択肢があるということは良いことなのだ。
「魚菜」のアクセス・営業時間などなど
最後に「魚菜」基本情報。
住所:北海道札幌市中央区南三条西5 三条美松ビル 4F
電話:050-5868-2197
営業時間:17:00~23:30(L.O.23:00)
土17:00~23:00
日休
その他:全面喫煙可
カード不可
予約可
おひとりさま居心地レベル:★★★★★(5★満点)
いずれにしてもこの『魚菜』さんは何を頼んでもまず外すことがない安心・安定のお店と言える。たとえお酒が呑めない方でも料理だけでも充分満足出来るはずだ。
札幌でゆったりと新鮮な魚に野菜にひと手間加えた美味しい料理と全国のお酒が飲みたい時は迷わずここへどうぞ。
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