今回は以前紹介した、大阪の『酒肆 門』や『北龍』からほど近いところにある一軒の古いバーだ。
大阪「北サンボア」
創業は1930年。戦後の焼け跡に闇市がひしめいていた『お初天神』近くの、現在店舗がある場所に1946年移転復活した『北サンボア』。
サンボア・グループ
このお店はサンボア・グループの中の1店。サンボア・グループは100年経った今では大阪・京都・東京に14店余りを展開している。
とは言ってもそれぞれの店舗が暖簾分けされたもので独立採算制。サンボアで10年間修行、全店オーナーから許可を得ないと独立しサンボアを名乗れない。
元々は1918年、現在の阪急電鉄・花隈駅近くで岡西繁一という人物が創業。当時は岡西ミルクホール。その後サンボアに改称されたらしい。
岡西氏は北原白秋が編著の文芸誌『ザンボア(朱欒)』を愛読、それがサンボアの由来になったと言う話がある。
ザンボアは果物のザボンの語源でポルトガル語。『ザ』が『サ』なのは、看板屋が『ZANBOA』と表記すべきを、『Z』を逆さにして『S』にしたからとか。
外観・店内
細い路地に浮かび上がるなかなか渋い外観はいかにも老舗バーと言う感じだ。『北サンボア』という白地に黒で書かれた普通の地味な看板が目印だ。
入り口の扉の上と横にはステンドグラスの窓がある。これがとても美しい。外がまだ明るければ、中から見るとまたこれもキレイだ。
店に入ると左に良い色になっているカウンター。基本ここはスタンディングスタイル。なのでサッと飲んでサッと帰る方が多い。
座れる席もあるがやはりここは立って飲んで、長居せずに河岸を変えるなり、帰るなりするのが良いだろう。
BGMは何も流れていない。店内にあるものの多くは長く使い込まれた美しさがある。こういう中で過ごす時間は至福の時だ。
メニュー
ここに来たらやはり『ハイボール』だろう。
氷は入っていない。
なので冷たいうちに飲まなければ美味しい魔法はとけてしまう。
そう、ここのハイボールは何か魔法を掛けているのではないかと思えるほど美味しい。出来上がるまでを見ていても他と何が違うのか?はわからない。
もしかしたらただの気のせいなのかもしれない。
このお店の雰囲気がそう思わせているのかもしれない。
でもそれで美味しいんだから全然構わない。
そしてハイボールを二杯。それでおしまい。
それくらいで帰るのがちょうど良い。
ただ出張でたまにしか立ち寄れないのが残念だ。
まとめ
時が止まってしまっているかのような店内。でも古い振子時計は時を刻んでいる。だから変な世界に迷い込むこともない。
静かな空間で美味しいハイボールを1.2杯飲んだらそれでおしまい。そういう使い方が良いお店だ。
「北サンボア」基本情報
最後に「北サンボア」の基本情報。
TEL:06-6311-3645
住所:大阪府大阪市北区曾根崎2丁目2−12
営業時間:17:00~23:00(L.O.22:40)
日祝、第2土曜日休
その他:カード可
全面喫煙可
おひとりさま居心地レベル:★★★★★(5★満点)
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