金沢駅の夜の『鼓門』は昼間にも増して威風堂々とした雰囲気。その奥に控えるガラスとアルミ合金の巨大な天井ドーム『もてなしドーム』も美しい。
その『鼓門』は能楽・加賀宝生の鼓を、そして『もてなしドーム』は大きな傘をイメージしている。なかなか素晴らしいデザインだ。
ちなみにこの金沢駅は、少し前になるがアメリカの旅行雑誌『Travel+Leisure』で『世界で最も美しい駅14選』の6位に唯一日本から選ばれたことがある。
金沢「季節料理・おでん黒百合」
そんな金沢駅の構内でおでんが食べられる。駅構内にある『金沢百番街あんと』の中だ。ここは土産やグルメゾーンで石川県の方言『あんやと(ありがと)』から名前が付けられた。
金沢と言えばおでん
金沢と言えば日本一おでんが食べられている地域だとか。ただ明確な『金沢おでん』の定義と言うものはないようだ。
ネタには独特のものが結構ある。その代表が『カニ面』。ズワイガニの雌『香箱ガニ』の身・内子・外子などを一度甲羅から外し詰め直したものを蒸し上げておでんの出し汁で煮たもの。
この『香箱ガニ』の漁は、毎年11月初旬から12月末なので、残念なことに『カニ面』は冬限定でしか食べられない。
店名の由来
さて『黒百合』だ。普通『百合』と言えば白い花を思い浮かべるが、ここは石川県だ。やはり黒百合が『郷土の花』だからこの店名なのだろう。
店内
白い暖簾をくぐり中に入ると、湯気が立ち上る大きなおでん鍋が正面に見える。それを中心にコの字カウンターが囲んでいる。左奥はテーブル席と小上がりがあり思いの他広い店内だ。
メニュー
この店は『季節料理・おでん』なのだから、当然おでん以外のメニューも色々と揃っているが、やはり『おでん』を外すことは出来ないだろう。
今は新しい店舗だが、創業は昭和28年。その創業以来、出汁を注ぎ足しながらつくっているおでんなのだからそれは美味しいに決まっている。
例えば『玉子と大根にシュウマイ』。
例えば『車麩・玉子・大根』。
『ふき』、
『糸コン・しゅうまい』、
などなどちょうど良い感じで味が染みていて本当に美味しい。
おでん以外だったら例えば『ホタルイカ沖漬け』。
『どじょうの蒲焼』は山椒が効いていてこれがまたお酒に合う。
『どて焼き』は豚肉とこんにゃくを串に刺し酒で茹でたもので、これもまたお酒が進む。
『すじ肉煮込み』は、ねぎか味噌か両方掛けの3つから選べる。写真はねぎだけのもの。
加賀の菊酒
日本酒が飲みたくなれば小堀酒造店のお酒『萬歳楽』の銘柄が色々と置かれているのでそれをどうぞ。ちなみに小堀酒造店の創業は江戸享保年間(1716~1734)。
手取川上流には、昔から多くの野生の菊が群生していた。その滴を受けて流れる手取川の水のことを『菊水』と呼んだらしい。
そして、中国の故事では、菊の滴を集めた水は特別の力があって、不老長寿の薬になると信じられていたようだ。
そんな手取川の菊水から造られた酒のことを『菊酒』と呼ぶ。古くは1527年の山科大納言の日記に記述が出てくる。
『太閤記』でも、秀吉が醍醐の大花見の際に、加賀の菊酒が『諸国一番の酒』と賞賛したと書かれている。
その『菊酒』は白山市の鶴来で造られる酒を指すことが多く、この小堀酒造店の『萬歳楽』はまさにその鶴来でつくられているお酒だ。
そんな『萬歳楽』各種をここでは飲むことが出来る。
例えば『萬歳楽 剱 山廃純米生原酒』とか、
『萬歳楽 森の吟醸蔵 純米吟醸』とか、
『萬歳楽 剱 山廃純米』とか、
10種類以上は揃っている。
まとめ
新幹線の待ち時間とか、他で飲んだ〆でおでんとか、ランチとか、勿論最初からここでガッツリとか、とにかく様々な使い方が出来る便利なお店だ。
しかも老舗のおでんとくればこれは間違いなく美味しいに決まっている。他にも色々酒の肴はあるし、日本酒も選択肢が多い。使い勝手の良いお店である。
駅構内なので、様々な客層が食べたり飲んだりしている。なので静かではないが、一人でも全然気にせずに居られる空間だ。
金沢「季節料理・おでん黒百合」基本情報
最後に「季節料理・おでん黒百合」の基本情報。
住所:石川県金沢市木ノ新保町1−1
電話:076-260-3722
営業時間:11:00~22:00(LO 21:30)
無休
その他:全面喫煙可
予約可
カード可
おひとりさま居心地レベル:★★★★★(5★満点)
黒百合 (おでん / 金沢駅、北鉄金沢駅、七ツ屋駅)
夜総合点★★★☆☆ 3.5
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