さて今回は東京都。以前の『大統領』に続いてまだ東京のお店のアップは二軒目だ。近いと却ってあちこち行かないものなのだ。
そして今回のお店はまだ2回しか行ったことがない。でもまたすぐにでも行きたくなるようなお店なのだ。
なのになかなか行けないと言うよりも、行こうと思えば行けるのに逆に近いからなかなか行かないままになっているというお店だ。
そして、ボクが今まで伺ったことがある居酒屋の中でも、『ベスト!』と言っても過言ではないお店の一つなのだ。
『ベスト』なんだから一軒でないとおかしいのだが、やはり一軒に決められないわけで、但し、ベスト〇〇としても同率1位になるのは間違いなし。
東京は根岸にある名店「鍵屋」
それが、東京都台東区根岸にある名店(とは言っても人ぞれぞれもちろん好みはあるだろうが)、『鍵屋』だ。
「鍵屋」に行く
JR鶯谷駅の南口を出て左へ。
そしていくつもの線路の上を越えていく。
様々な電車がそこを通っていくが、鶯谷駅に停車するのは京浜東北線と山手線だけだ。そして昼間はその京浜東北線もこの駅は停車することなく通過してしまう。
線路を渡って階段を下りて行くと、いつも煙がモクモクの『ささのや』がある。ここも魅力的だが、そこを横目に進むと言問通り。
横断歩道を渡って、左に向かって少しだけ歩き、右に入りちょっと歩くと左手に何とも言えない異空間が現れる。どう見てもその場所だけ違和感を感じる。
それが『鍵屋』なのだ。
以前の建物は「江戸東京たてもの園」に
元々この店は言問通りに面した所にあったようだが、昭和40年代の道路拡張とやらで移転を余儀なくされてしまう。
移転前の震災・戦災をまぬがれたこの建物は、元々1856年(安政3)建物だったらしい。その頃はまだ酒屋だったみたいだ。
当然取り壊されたと思いきや、今はJR中央線武蔵小金井駅北口からバス5分のところにある『江戸東京たてもの園』にちゃんと保存されている。
そして、保存されているのは1970年(昭和45)頃の姿を復元している。残念ながら未だにここを訪れたことがない。
写真では見たことがあるが、その外観も店内も、とにかく素晴らしいものだ。こうやって復元・保存されているだけましなのかもしれない。
ここで飲めたならどんなに良かっただろうと思わざるを得ないが、この武蔵小金井の鍵屋で、夏のイベントの時にお酒を飲むことが出来たという話を聞いたことがある。
果たして今はどうなんだろう?と思いながらまた夏が終わってしまった。
それで、この『江戸東京たてもの園』は様々な昔の建物がその名の通り保存されている。どれもがなかなか興味深く、いつかは行きたいと思いながら、結局随分と時間が経ってしまった。
武蔵小金井というのが躊躇させるのだ。なかなかあそこまでは行く気にならない。家からだと少しばかり遠いのだ。と言っても在来線を乗り継げば一時間半程で行けるのだけれど。
やはり中途半端に近いと、却ってなかなか行かないものなのだ。
今の建物だって素晴らしい
ところで今のお店の建物も、実は意外に古く大正時代の踊りの師匠の家をお店にしたものだそうだ。普通の住宅街の中に突然そこだけが昔の建物で全体的に黒のイメージ。
開店前は黒い木戸が閉じられている。やがて17時の開店と共にその木戸が開かれる。白い暖簾をくぐって中に入ると、そこはやはり異空間だ。
そういう意味では仙台の『源氏』に似ている。もちろんお店までのアプローチは『源氏』の方がワクワクするのだけれど。
開店前の店先には何人か並んでいることもある。2度目の雨の日がそうだった。とは言っても2,3組。予約をすれば良いのだが、確か3名以上とかでないと予約不可だったはずだ。
ならば仕方がない。並ぶしかない。並んでも入りたいお店はそうはない。でもここは『並んででも入りたいお店』なのだ。
店内
店に入ると右手にはL字カウンター、
左手には小上がり。
つくられたレトロ感ではなく、本当に時を積み重ねてきたんだなと思わせる店内。
おひとりさまなら当然カウンターに座ることになる。
随分と古いものがあれこれとあちこちに飾られている。素晴らしいの一言だ。
椅子一つとってもこの年季だ。
メニュー
ここは料理もお酒もメニュー豊富というわけではない。と言うよりもかなり少ないと言って良いであろう。
ビールはサッポロの赤星ちゃんとキリンラガーと言う感じで申し分ない。
お通しは『みそまめ』。
少ないメニューの中でも『うなぎくりからやき』は外せない。本数に限りがあるので早めに注文しておきたい。
それと『合鴨塩焼き』。感動はしないが美味しい。
更に『たたみいわし』。これも肴にはちょうど良い。
『玉子焼き』はなぜか土曜日限定。
『冷奴』は出され方が良い。
お酒は燗でどうぞ。
銅の燗付器で付けられた細身の背の高い白い徳利と蛇の目の盃はこのお店の雰囲気にはピッタリでなおかつ美しい。
お酒は大関・櫻正宗・菊政宗。
その他に冷酒もあるようだ。あとはビール。潔いほど数が少ないが、雰囲気を楽しむのだからあれこれいらない。
まとめ
料理がとてつもなく美味しいとか、お酒の揃えが豊富とか、決してそういうことではない。それでもここでお酒が飲めるのは本当に幸せだと思わせる魅力がある。
こういった空間は実はそんなにはない。機会があればゼッタイに訪れてほしい究極の場所だ。
ただ女性だけだと確か入れなかったはずだ。酒場は男の社交場的な差別が引き継がれているのだろうか?
「鍵屋」基本情報
最後に「鍵屋」の基本情報。
住所:東京都台東区根岸3丁目6−23
電話:03-3872-2227
営業時間:17:00~21:00
日曜・祝日休
その他:全面喫煙可
予約可(但し3名以上)
カード不可
おひとりさま居心地レベル:★★★★★(5★満点)
鍵屋 (居酒屋 / 鶯谷駅、入谷駅、上野駅)
夜総合点★★★★☆ 4.5
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