
梅津酒造
伯耆の国、今は鳥取県の中部、日本海に面する東伯郡北栄町は、由良川と天神川の流れる北条平野という三角州の低地だ。
かつては鳥取藩が年貢米などの番所として倉庫と船着場を設け、由良宿として栄えた。
そこで慶応元年(1865)年、初代梅津平蔵が酒造りを始めた。
五代目の時、平成17年には醸造アルコール添加を廃止、米と米麹だけの酒造りに舵を切った。
そして今は六代目が蔵を継いで酒づくりに励んでいる。
梅津の生もと 笊・にごり 玉栄 R1/80 白ラベル

そんな梅津酒造の造ったお酒の一つが、今回の『梅津の生もと 笊・にごり 玉栄 R1/80 白ラベル』だ。
この『梅津の生もと』は加水をしない原酒。なので、当然アルコール度数もかなり高めになる。今回のものも20度と高い。
そのまま冷やして呑んだが、かなりインパクトのあるお酒だ。濃いし、1度に沢山は呑めないくらいだ。でも美味しい。
それで、生もと仕込の純米原酒をザルで漉したにごり酒が限定販売の『笊』シリーズ。
発酵中の醪を汲み出して笊に入れる。そうすると笊の網目の隙間から濁ったお酒が滴り落ちる。これを瓶詰めにしたものだから濃厚で旨味たっぷり。
三、四割ほど加水して燗にするのも良いらしいがあまり燗酒は呑まない。他にも炭酸水で倍ぐらいまで割っても美味しいみたいだが、夏でもないしそこまではしなかった。
いずれにしても加水したり割ったりはしたくない。
鳥取県のお酒はあまり呑んだことはないが、ここのお酒はもしかするとかなり好みのかもしれない。他のものも呑みたくなった。
ラベル

さてお酒の瓶は定番の1つ、緑色のタイプ。
首のところには『R1/80%』と濃いめの鶯色の地に白い文字で書かれている。
もちろん『R1』は酒造年度令和1年のことで、『80%』は精米歩合のことだね。
その下に『鳥取県産 玉栄 100%』。
この玉栄は、もともと愛知県農業試験場で山栄と白菊を掛け合わせて育成した酒造好適米だ。

メインのラベルは白地で、ど真ん中には赤い筆文字で『笊』と書かれている。字の右下には落款。何て書いてあるのか?は残念ながら知識不足でわからない。
その下には小さく黒い文字で『ざる』、その下には更に『ZARU』と、読めない人にも親切だし、デザイン的にもある方がなんだかバランスが良い感じになる。

右上には『梅津の生酛』と特徴のある黒い筆文字。その下は『日本酒 純米酒 原酒』で『原酒』だけが赤い。

左上には家紋、その下には『応援の酒 富玲』。これは三代目、大正〜昭和の頃の梅津藤蔵が名付けたもの。
この三代目は10代で南カリフォルニア大学に留学、テニスの名手で邦人大会で優勝をしたほど。その後、高校の教師をしながら家業を継ぐ。
そして、最高級のお酒の名前を考えている時、あの応援の声援『Hurrah! Hurrah!(フレー、フレー)』を思い出して、漢字で『冨玲』としたんだそうだ。だから『応援の酒』なわけだね。
表のラベルから繋がって裏の説明ラベル。
自然酒 梅津の生酛(うめつのきもと)
梅津の生酛は伝統的な自然流。酵母菌も乳酸菌も無添加で自然のものを呼び込んでいます。
笊(ざる)
発酵中の醪を汲みだして、そっと笊に入れると、笊の下から濁ったお酒が滴ります。これを瓶詰にしました。米や米麹の旨味がたっぷり詰まっています。
説明ラベル
まさに旨味たっぷりの素晴らしいお酒である。
データ
産地 | 鳥取県 | 容量 | 1800ml |
蔵元 | 梅津酒造 | 日本酒度 | +8 |
度数 | 20.6 | 酸度 | 4.4 |
精米歩合 | 玉栄 | アミノ酸度 | 非公開 |
原料米 | 80% | 酵母 | 非公開 |
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