今回は仕込と発酵
日本酒のことをいろいろと知っている方が、選ぶ時も呑む時も楽しいし美味しいはず!
でも、例えば日本酒にまつわる様々な言葉って、何となく聞いたことはあっても、実はそれがどういうことなのか?は意外に知らない方も多いのではないだろうか?
そもそもどうやって日本酒がつくられるのか?だってわからない人も少なくないはず。
だったら、もっと日本酒が楽しく美味しくなるような日本酒豆知識を、誰にでもわかるようにしたい!ということで始めたのが、『知っている方が楽しい!美味しい!誰にでもわかる日本酒豆知識』。
それで、今回のテーマは『仕込と発酵』について。
何回かに分けて仕込んで発酵させる
酒母が完成に近づく頃に大きめのタンクに移し米麹+蒸米+仕込水を加える。
ただ、一度に大量の仕込みをすると酵母が弱るので、何回かに分けて仕込んでいく。そうして酒母は醪(もろみ)となっていくのだ。
よく『三段仕込』という言葉を聞くかもしれないが、これは酒母に米麹+蒸米+仕込水を三回に分けて加える仕込み。5回なら『五段仕込』になるわけだね。
例えば三段仕込の工程はこうだ。
・1日目=添仕込:酒母に米麹+蒸米+仕込水を加える
・2日目=踊り:酵母が繁殖するようにお休みさせる
・3日目=仲仕込:再び酒母に米麹+蒸米+仕込水を加える
・4日目=留仕込:最後にもう1度米麹+蒸米+仕込水を加える
留仕込が終わるとタンクの中の醪を徹底した温度管理の下で発酵させていく。
タンクの中では次々と甘酒ができ、酵母がその糖分をエネルギーにしてアルコールや味・香りの成分が造り出されていく。
仕込み水
仕込みに使われる水は『仕込み水』と呼ばれる。日本酒に含まれている成分の約8割は水だからこの仕込み水は重要だ。仕込み水の水質は醪の発酵や酒質に重大な影響を与えることになる。
仕込み水は大量に必要なので、その酒蔵がある土地の水を使うことが一般的。なのでお酒の味わいは、その土地の水に大きな影響を受けることになる。
仕込み水として使われる水は水道水の基準値内なのは当然だが、無色透明、無味無臭、有機物が少ないことが条件。
更に、酵母の増殖に必要なカリウムやマグネシウムなどのミネラル分を適度に含むこと、着色の原因となる鉄分や紫外線によって劣化するのを早めてしまうマンガンをあまり含まないことが重要。
水には、そのカルシウムやマグネシウムなどのミネラル量によって決められる『硬度』があるでしょ?一般的には硬度120以上の水が硬水、60~120未満が中硬水、60未満が軟水となる。
硬水と軟水では、やはりれぞれ味わいの異なる日本酒ができるのだ。
灘の男酒 伏見の女酒
味の違いから『灘の男酒、伏見の女酒』なんて言い方がある。
灘の仕込み水は、酒造りの名水として知られる『灘の宮水』。『宮水』は『西宮の水』からそう呼ばれるようになった。
この宮水は麹や酵母の栄養分となり酵素の作用を促進するカリウム・カルシウムなどミネラル分、更にリンの含有量が多い中硬水。鉄分はもちろん少ない。
酒造りの水には少量の塩分の含有が好まれるが塩分も多く、とにかくお酒づくりには非常に適している。この水を使うと独特のキレのある酸の多い辛口タイプのお酒になるのだ。
逆に例えば京都『伏見の御香水』はミネラル分の少ない軟水。なので、やわらかくまろやかな口あたりのお酒になるのだ。
だから『灘の男酒、伏見の女酒』なのだね。
というわけで…
今回は母酒に米麹+蒸米+仕込水を加えた仕込みと発酵についてでした。母酒に加える仕込み水のことも一緒にね。
水1つとっても味わいが変わるわけで、お酒の味わいを決める要素は米から始まって本当に沢山ある。だからそれぞれ個性があって面白いんだよね。だから自分好みのお酒を探すのはとても楽しいわけだ。
さて、次回は完成した醪をどうするのか?から。
日本酒が出来上がるまでを知りたい!だったらこちらもどうぞ!!
この順番で読んでいけば日本酒が出来上がるまでがわかる!
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