小さな蔵元 渡邊酒造
栃木県大田原市(旧黒羽町)須佐木という八溝山中の小さな集落に位置する、小さな地酒蔵が渡邉酒造である。
創業は明治25年(1892)と酒蔵としてはさほど古いわけではないが、それでも百三十年近く続く蔵元だ。
ここの酒造りの規模は小さく、生産された酒の多くは、地元黒羽地区をはじめ、栃木県内で消費されてしまう。
なので、なかなかお目にかかれないが、品評会での評価もありその知名度は高い。
旭興 辛口 純米吟醸 山卸廃止もと 八溝杉木桶仕込
そんな蔵元から届けられたお酒が今回の『旭興 辛口 純米吟醸 山卸廃止もと 八溝杉木桶仕込』だ。
このお酒の名前『旭興』は、渡邉酒造がもともとの創業地からみて東の地にあたる、現在の地に移転した際につけられたもの。
東への移転を感じ朝日(旭)が昇る(興る)』という意味に重ねて命名されたそうだ。
香りは控えめ。程良い旨味は料理を引き立たせる。後口のキレが抜群で、ついもう一杯と杯が進むお酒だ。
それと、木桶仕込みなだけにその微かな香りが味わい深いものにしている。
ラベル
さて、この酒の瓶の色はオーソドックスな茶色いもの。
首のところには特に何もなく、表と裏にごく普通に長方形のラベルが貼られている。
白地の和紙の真ん中には『旭興』の筆文字。
酒名を囲うように、龍と杉だろうか箔押しされていて光に反射して見る角度によってはとてもキレイだ。
ラベルの下の方には、ローマ字で『KYOKUKO』、更に『WATANABESYUZO CO.LTD.』。筆文字とのバランスがなかなか良い感じだ。
右上には『辛口 純米吟醸 山卸し廃止酛』。
この『山卸し廃止酛』は、つまりは『山廃仕込み』のことだね。
生酛から山卸を廃止するということ、要は酒母を作るタンクにいれる蒸米を、あらかじめ櫂ですり潰す、米を早く溶かす作業、山卸をしないということだ。
すり潰さなくても、麹が米を溶かしてくれるのだ。
ラベルの左下には『八溝杉木桶仕込』と書かれている。
これは裏の説明ラベルの引用をしよう。
~このお酒は桶から造りました~
説明ラベル
栃木県北東部にある蔵のある「八溝山(やみぞさん)」
そこで栽培される「八溝杉(やみぞすぎ)」は江戸時代から育成保護され、
関東きっての良材として、木材業界では高い評価を受けている樹種です。
しかし、近年外材などの輸入、建築方法の変化により、
この地域のみならず日本の林業が衰退してきてしまいました。
そこで当蔵としてはこの良材が少しでも世に広がればと思い、
伐採、木の選定から立ち合い、
株式会社ウッドワークさん協力のもと木桶を作成いたしました。
仕込み水と同じ水で育った八溝杉の木桶で仕込んだお酒です。
ということでした。
データ
産地 | 栃木県 | 容量 | 1800ml |
蔵元 | 渡邉酒造(旭興) | 日本酒度 | +10.5 |
度数 | 16% | 酸度 | 1.8 |
精米歩合 | 50% | アミノ酸度 | 非公開 |
原料米 | 夢ささら | 酵母 | K-601 |
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