今回のテーマは『麹造り』
日本酒のことをいろいろと知っている方が、選ぶ時も呑む時も楽しいし美味しいはず!
でも、例えば日本酒にまつわる様々な言葉って、何となく聞いたことはあっても、実はそれがどういうことなのか?は意外に知らない方も多いのではないだろうか?
そもそもどうやって日本酒がつくられるのか?だってわからない人も少なくないはず。
だったら、もっと日本酒が楽しく美味しくなるような日本酒豆知識を、誰にでもわかるようにしたい!ということで始めたのが、『知っている方が楽しい!美味しい!誰にでもわかる日本酒豆知識』。
それで、今回のテーマは日本酒の味を決定する非常に重要な工程の『麹造り』だ。
麹造りって?
理想的な『外硬内軟』の蒸米をつくるのは、実は理想的な麹造りの為だったと言っても過言ではない。
一麹、二酛、三造り
その麹造りだけど、『一麹、二酛、三造り』という言葉を聞いたことがあるだろうか?日本酒造りの重要さを工程順に表した言葉だ。
確か『農口尚彦研究所』の農口氏はこんな風に言っていたと思う。
「日本酒では『一麹、二酛、三造り』って言いますが、わしの場合は違うんです。
『一麹、二麹、三麹』。寝ても覚めても麹なんです」。
やはり、それだけ麹造りは重要なのだ。
引き込み
前回の最後に出てきた放冷が終わると、蒸し終えた米は今度は麹室へと運ばれる。
これが『引き込み』っていうやつだね。
この作業は、機械で運ばれる場合もあるし、人が担いで運ぶ場合もある。
麹室は麹菌を繁殖させるために高温・多湿で管理された部屋。冬でも温度は30~40℃くらいで、湿度が60%ほどに保てるようになっている。
麹菌以外の菌が米に付着しないように、酒蔵の中では最も清潔に保つように常に努力されている場所でもある。
床もみ
運び込まれた蒸米は麹室で広げられ、後2~3時間放置され、温度が均一にされる。
均一になったところで蒸米を床の上に広げて、そこに粉末の麹菌を振り落とす種付け・種切りが行われる。
そして麹菌が蒸米全体に満遍なく付着するように、しっかりと手で揉みこんで混ぜ合わせていく。
米と米がくっついていると、くっついたところに麹菌が付着せず発酵にムラができてしまうので、米粒を一粒一粒バラバラにするのが理想的。
これらの作業を『床もみ』と言う。
切り返し
床もみ後は、広げたお米をもう一度集めて積み上げて布で包み込んで保温する。
10〜12時間後にはお米は再びくっついて塊になる。
これを手で崩してほぐしてかき混ぜることで、お米を再びバラバラにし、麹菌に酸素を供給し、おお米の水分量や温度を均一にしていく。
これが『切り返し』だね。
盛り
切り返し後10時間ほど経つと、今度はお米を一定量づつ麹蓋や麹箱に入れて分ける作業、『盛り』を行う。
麹蓋は麹箱より小さな箱。製麹機という機械を使う場合もある。
この頃にはお米に麹菌が繁殖し始めていることがわかる白い斑点が見えてくる。同時に、麹菌の増殖による発熱でお米の温度が上がり始める。
この温度が高過ぎると、麹菌の繁殖を阻害してしまうので、温度調節をしやすくする為に『盛り』を行うのだ。
仲仕事
盛り後7〜9時間ほど経過すると、またもやお米の温度が上昇する。
ここでもう1度温度が上がりすぎないように、くっついたお米をまたバラバラにして、箱の中に均一な厚みになるように広げる。
こうして熱と湿気を逃がし、麹菌が酸素に触れる表面積を増やす。そして布を被せて再び温度が上昇するのを待つのだ。
この作業が『仲仕事 』と呼ばれるものだ。
仕舞仕事
仲仕事後、6〜7時間ほど経つと再びお米は温度が上昇する。
再度お米全体の温度を均一にし、余分な水分を飛ばす為にまたまたかき混ぜて温度の上昇を促す。
これが『仕舞仕事』だね。
この頃にはお米は麹の完成に近付く。
出麹
仕舞仕事の後、麹菌の繁殖を止める為には温度を下げなくてはならないので、8~12時間程でお米を麹室から出す。
これが『出麹』だ。
枯らし
麹室から出したお米は麹室よりも涼しい部屋で拡げられて冷やされる。
これが『枯らし』。
これで麹造りのプロセスが終了する。
というわけで…
麹造りの過程を順番に見てきたわけだけれど、そもそも麹って?とか麹菌って?という場合もあるはずだ。それは次回ということに。
いずれにしても麹造り1つとってみても何だか大変な作業なんだなということだけはわかっていただけたと思う。
そうやって美味しいお酒がつくられていくんだな、と思いながら呑むとまた一味違うかもしれないよね。
日本酒が出来上がるまでを知りたい!だったらこちらもどうぞ!!
この順番で読んでいけば日本酒が出来上がるまでがわかる!
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