今回は『上槽』
日本酒のことをいろいろと知っている方が、選ぶ時も呑む時も楽しいし美味しいはず!
でも、例えば日本酒にまつわる様々な言葉って、何となく聞いたことはあっても、実はそれがどういうことなのか?は意外に知らない方も多いのではないだろうか?
そもそもどうやって日本酒がつくられるのか?だってわからない人も少なくないはず。
だったら、もっと日本酒が楽しく美味しくなるような日本酒豆知識を、誰にでもわかるようにしたい!ということで始めたのが、『知っている方が楽しい!美味しい!誰にでもわかる日本酒豆知識』。
上槽の方法
それで、今回のテーマは『上槽』だ。
一か月弱をかけて完成した醪を搾るのが『上槽』だね。酒粕(モロミで溶けなかった麹や蒸米)を布目でこし取る工程。
以前は醪を酒袋に詰めて木製の槽(ふね)の中に並べて搾ったので『上槽』という言葉が使われていた。
この上槽にはいくつかの方法がある。
佐瀬式
酒袋に醪を詰めたものを槽の中で規則正しく積み重ねていって、最初は醪の自重で搾り、途中から上からゆっくり機械で圧力をかけて搾る方法。
八重垣式
最初は醪の自重で、途中から上から機械で圧力をかけて槽の上で醪を搾る方法。外で搾るから空気に触れやすい。
撥ね木搾り
醪を詰めた酒袋を積み重ねていって最後に蓋をした上に巨大な木 (撥ね木) を置いて、梃子の原理で石の重みを使って圧力を加え搾っていくもの。
ハネタ式
100枚ほどのパネルとパネルの間に醪を流し込んでパネルの中のゴム風船を空気で膨らませて搾る方法。
袋吊り (雫搾り)
小さなタンクの上に木の棒を渡し、そこに醪を詰めた袋をめいっぱい掛け隙間をなくすことで空気に触れる面積を最小にし、そのまま圧を加えず重力で落ちてくるお酒だけを取る方法。
その他
遠心分離機による方法や発酵タンク内でフィルターを使って搾る方法などもある。
3つの段階のお酒
お酒を搾る際、最初は何もしなくてもお酒が出てくる。圧を加えると再度出てくる。最後にもっと強く圧を加えると更に出てくる。
普通はこれら3つの段階に取れたお酒を分けず混ぜて均一にしてつくる。ただ、実はそれぞれの段階によって味わいが異なってくる。
あらばしり
上槽過程で機械による圧力をかけずに醪自身の自重により自然と出てくる部分のこと。
最初に出てくる白濁した清酒は最もフレッシュで香りも高い。荒々しく刺激の強いインパクトのあるお酒となる。
中垂れ (中取り、中汲み)
次の段階のものが『中垂れ (中取り、中汲み) 』。適度に圧力を掛けて出てくる部分で、1度の上槽で取れるお酒の大部分がこれにあたる。
透明感があって香味のバランスが良いお酒となる。
責め(押し切り)
最後に更に圧力を掛けて出てくる部分が『責め(押し切り)』。
複雑味のある味わい深いお酒となる。
というわけで…
上槽によって出来上がったのがいわゆる『新酒』。その上槽にはいろいろな方法があって、それぞれで当然味わいが違ってくる。更にどの段階で搾られたものなか?でもまた味わいが違う。
本当に味わいが変わる工程ばかりが続いていくんだから、本当にこういうお酒をつくりたい!になるのか心配になるが、そこはこれまでのデータや知識や勘の蓄積があるのだろうね。スゴイ。
さて、次回は上槽の更に続きを。
日本酒が出来上がるまでを知りたい!だったらこちらもどうぞ!!
この順番で読んでいけば日本酒が出来上がるまでがわかる!
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