今回のテーマは『生と原酒』
日本酒のことをいろいろと知っている方が、選ぶ時も呑む時も楽しいし美味しいはず!
でも、例えば日本酒にまつわる様々な言葉って、何となく聞いたことはあっても、実はそれがどういうことなのか?は意外に知らない方も多いのではないだろうか?
だったら、もっと日本酒が楽しく美味しくなるような日本酒豆知識を、誰にでもわかるように!ということで始めたのが、この『知っている方が楽しい!美味しい!誰にでもわかる日本酒豆知識』。
今回はここのところ『Sakelabelhopping』で立て続けに出てきている『生と原酒について知ろう!』だ。
生酒とは?生詰め酒と生貯蔵酒と違うの?
この時期に多く登場するお酒に『生酒』がある。生酒は酒に残った菌を殺菌し、酵素の働きを止めることで酒質を落ち着かせる『火入れ』をしていない日本酒のこと。
よく『生酒』と『生詰め酒』と『生貯蔵酒』といった似たような言葉があるけど、これは火入れの回数とタイミングで分けられた言葉だね。
生酒
生酒は先ほどあったように1度も火入れを行っていないもの。
火入れを行っていない以上、当然酒の中に残った酵素が働き酒質は瓶の中でも随時変化する。なのでお店では冷蔵ケースに入っているはず(入っていなかったらその酒屋は終わっている)。
ネットで購入の場合ならクール便で配達されることになる(クール便で出荷しないような酒屋ならこれも当然終わっている)。届いたら即冷蔵庫にしまって、開栓後は早めに呑みたい。
生詰め酒
お酒を絞った後、貯蔵前に火入れを1度行って、出荷前には火入れを行わないものが『生詰め酒』。
秋に登場するひやおろしはこの『生詰め酒』に相当するわけだね。春の搾りたての荒々しさがなくなり、夏の間にまろやかになるひやおろしは、秋の味覚にはぴったりだ。
ちなみに貯蔵前に火入れするの意味は、アルコール度数を下げる為に加える水の中の菌を殺菌する為だ。
生貯蔵酒
絞った後、貯蔵前には火入れを行わないで、出荷前に1度火入れを行うのが『生貯蔵酒』。生詰め酒よりも長い期間生のまま熟成させるので特有の風味が生まれる。
生詰め酒にしても、生貯蔵酒にしても、生酒ほどではないにしろ、1回の火入れだけなのでやはり冷蔵は必須と言える。
生酒と生原酒と無濾過生原酒の違いは?
もう1つ、『生酒』と『生原酒』と『無濾過生原酒』とやはり似たような言葉がある。
日本酒づくりには『割水』という工程がある。
絞ったままのお酒はアルコール度数が高い。それを貯蔵後に水を加えてアルコール度数を15度前後になるように、また日本酒独特の香りや味わいのバランスを調整するものだ。
この割水を一切しないものが『原酒』だね。当然米の濃い旨味が口の中いっぱいに広がる。
好きな人には堪らないしクセになるだろうけど、呑みなれていない方には結構ハードルは高いかもしれない。
それで『無濾過生原酒』と『生原酒』の違いは、フィルターなどを用いて濾過して不純物を取り除いたかどうか?で、取り除いたものが『生原酒』。
濾過も何もせず醪を搾ったままのお酒が『無濾過原酒』だね。
通常無濾過生原酒を濾過するとアルコール度数が少し下がるようだ。これが0.9度以内に収まっていれば『生原酒』で良いのだが、それ以上だと『生酒』としか表示できないのだ。色々細かいんだね。
焼酎の原酒
ちなみに日本酒の原酒のアルコール度数は焼酎の原酒に比べればそれほど高いというわけでもない。
そもそも焼酎のアルコール度数は九州に行くと20度のものも多いけれど、だいたいは25度。
一般的な焼酎は蒸留後に、他の焼酎や水を加えて味のバランスを調整し、アルコール度数を25度にして出荷される。この方法は日本酒と変わらないね。まあ日本酒に日本酒を加えて調整はしないけど。
そして原酒の方は?と言えば、焼酎や水を一切加えずに瓶詰めする。なので当然アルコール度数は高くなる。
その度数は麦や米焼酎だと43~44度、芋焼酎だと37~38度となるのが一般的。蒸留して最初に出てくる最初のわずかな原酒『ハナタレ』だともう少し高くなる。これもまたどっしりとしていて呑み応えがある。
日本酒原酒の飲み方
さて、日本酒の原酒の飲み方だけれど、当然そのまま呑むのが1番。
もちろん氷を入れてオン・ザ・ロックにして呑むというのもあり。炭酸水を入れるのもありかもしれない。加水して燗にして呑むのも良いだろう。
でも、せっかくの原酒なんだから、やはりそこはそのまま呑んでほしいと思う。
というわけで…
原酒は焼酎にしても日本酒にしても、呑んだ時のインパクトが全然違う。ただそれが普通になってしまうと、通常のものが物足りなくなってしまうからね、注意が必要だ。
刺激が強いものでも、それに段々と慣れてしまうと、より強い刺激を求めるのと同じことだ。
日本酒には、春は春酒、夏は夏酒、秋は秋あがり(ひやおろし)、冬はしぼりたて、というように四季がちゃんとある。当然その季節にしか味わえない季節限定酒がある。
これも日本酒の楽しみ方の1つなわけで、1年中流通しているものも悪くないが、どうせなら季節限定のものを呑んで四季をちゃんと楽しみたいものである。
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