日の丸醸造
元禄2年(1689年)創業の日の丸醸造は、
日本有数の豪雪地帯である秋田県南の横手盆地の東南にある。
奥羽山脈栗駒山系の伏流井戸水を仕込み水に、
蔵人栽培の地元酒造好適米を使ってお酒をつくっている。
蔵名の『日の丸』は、
秋田藩主佐竹公の紋所『ご本骨の扇に日の丸』にちなみ命名されたと伝えられている。
文治五年(1189年)八月、
源頼朝が藤原泰衝征伐のため奥州に向かう。
この時に源氏の一族佐竹隆義が無文の白旗を掲げているのを見とがめ、
白旗の使用を禁じた際に頼朝は隆義に月を描いた扇をを旗につけるよう命じたらしい。
源頼朝は白旗を源氏嫡流の旗として、
他での使用を許さなくしていたからだそうだ。
ということは、
本当は扇の中の丸は日の丸ではなくて月なんだね。
まんさくの花
今回のお酒は『まんさくの花 巡米 秋田酒こまち70%』。
ちなみに冬の名残のある野山などで木々の芽吹きも始まらない季節に黄色の花を咲かせ、
いち早く春の訪れを告げるまんさくの花。
花がよく咲けば豊作で花が少なければ不作と、
稲の作柄を占う植物として『満作』と名付けられたという話もある。
開花期が早いことから、
『まず咲く』や『真っ先』が変化したとも言われている。
この『まんさくの花 巡米 秋田酒こまち70%』は、
『日本酒造りの要諦は、米に由来する香味を大切にし、たとえ雑味があってもそれを活かしてまとめ上げ、全体の調和を図るべき』との考えに基づいてつくられたお酒。
極力米を磨いて雑味を排除する従来の吟醸造りから脱却し、
使用する酒米以外全て同一条件(精米歩合・酵母・仕込規模・火入れ・貯蔵・仕込時期)で製造して酒米の違いを飲み比べようとするもの。
なので、
この秋田こまち以外にも雄町・美郷錦・愛山・亀の尾・山田錦などを使ってつくっている。
今のところこの『巡米シリーズ』は、
まだこれしか呑んだことがない。
精米歩合は70%だけど、
雑味が出難い秋田酒こまちを使っていて低精米でも純米吟醸に勝るとも劣らない味わいだ。
酵母には、
イソアミル系でバナナ系の軽快なタイプの『秋田酵母No12』を使っている。
ここのお酒はタンクではなくて、
巨大な冷蔵庫による瓶貯蔵なのも大きな特徴。
ラベル
白地に濃い金色というかオレンジっぽい綺麗な色の箔の部分に、
『まんさくの花』の白い文字というシンプルなもの。
右上の白地の部分に赤く『純米酒』と書かれており、
左下には『日本酒』と『秋田県横手市増田町七日町一一四-二 日の丸醸造株式会社』と落款。
肩部のところにはメインのラベル同様の色使いで、
『秋田酒こまち 70』の短冊が斜めに貼られている。
裏ラベルには、
『秋田酒こまち』の家系図と特徴が載っている。
五百万石×ヨネシロから秋田酒251、
秋田酒40号×華吹雪から秋田酒306、
その秋田酒251×秋田酒306から秋田酒こまちができたんだね。
秋田県が平成10年に開発した酒米。
裏ラベル説明
醸造特性が非常に高く、全国で広く使われる秋田県産酒米のエース的存在です。
上品なお米の甘みと透明感のある美しい味わいがお愉しみいただけます。
あとは巡米シリーズの種類が書かれている。
2020.4に『星あかり』で始まって、
2020.7『雄町』→2020.8『朝日』→2020.9『美郷錦』→2020.11『愛山』→2020.12『百田』ときて2021.1にこの『秋田酒こまち』。
この後も、
2021.3『亀の尾』→2021.5『山田錦』と続くようだ。
1度火入れの原酒なので、
アルコール分も17度と少し高めになっていることがわかる。
データ
産地 | 秋田県 | 容量 | 1800ml |
蔵元 | 日の丸醸造 | 日本酒度 | +1 |
度数 | 17.5% | 酸度 | 2.0 |
精米歩合 | 70% | アミノ酸度 | 1.1 |
原料米 | 秋田酒こまち | 酵母 | 秋田酵母No.12 |
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