
カサ・バトリョ
カサ・バトリョ、
Casa Batlló 。
1904年に大繊維業者ジュゼップ・バッリョ・イ・カザノバスの依頼を受け、
ガウディはこの邸宅の改築を行っている。
5階建ての建物の地下1階と地上6階と屋根裏を増改築、
ガウディが54歳の1906年に完成させた集合住宅。
元々は1877年に建設された建物で、
バルセロナ建築学校でガウディの教授だったエミリ・サラ・イ・コルテス設計のものだった。
ココは1986年と1990年の2回とも訪れているが、
当時は中には入れなかった。
でも他と同じで、
今では内部の見学ができるようになっている。
現在のカサ・バトリョの所有者は、
あの棒付きキャンディのチュッパチャップス創業者エンリク・ベルナトの子息。
ここの入場料の収入は年間で35億にもなり、
それが5人の子息に分配されるらしい。
ロゴの原型は、
サルバドール・ダリ。
当時のモデルニスモを代表する3大建築家の作品が並ぶ一画
1900年カサ・バトリョの左側にあるカサ・アマトリェールがリフォームされて豪華な外観となり、
それを羨ましく思ったバトリョが購入したシンプルな建物をリフォームしたのがココ。
ちなみにカサ・アマトリェールは当時のモデルニスモを代表する3大建築家の1人、
ジョゼップ・プッチ・イ・カダファルチの作品。
そしてカサ・バトリョとカサ・アマトリェールが並んだ区画、
カサ・アマトリェールの3軒先にあるのがカサ・リェオ・イ・モレラ。
これも当時のモデルニスモを代表する3大建築家の1人、
リュイス・ドメネク・イ・ムンタネーの作品。
つまり当時のモデルニスモを代表する3大建築家の作品は、
僅か100m程の距離に横一列に並んでいることになる。
それぞれ全く異なる個性を持っているので、
不協和音の一画と呼ばれたりしているみたいだ。
カサ・アマトリェールとカサ・リェオ・イ・モレラの間にあるのは、
マルセリアーノ・コキヤットのカサ・ボネットとエンリク・サニエのカサ・ミュレラス。
外観
この建物のテーマは、
海・池・水というテーマ。
上部の屋根
上部の屋根の造形は諸説あるけど、
その1つがカタルーニャの守護聖人サン・ジョルディの伝説。
ある国の王女が龍にとらえられ生贄にされるところを、
サン・ジョルディが現れて龍を退治して王女を救った。
その時にサン・ジョルディの剣の一刺しで龍の血が地面に流れ、
そこに美しい赤いバラが咲いたという話。
屋根の輪郭は竜の背中のようで、
陶器タイルは竜の鱗みたいだ。
小さな三角形の窓があるが、
竜の目のように見えなくもない。
この三角の窓は、
モンセラート山のラ・ロカ・フォラダーダ(穴の開いた岩)のようだ。
鱗のようなタイルは右側の緑色から中央の大きな部分の濃い青と紫、
そして最後に左側の赤みがかった濃いピンクまで色が違っている。
左寄りのところには塔があって、
頂上には方位を示す4本の腕を持つ十字架。
十字架の下は、
十字架が花のように思わせる球根みたいな形をしている。
その下の円筒には、
JHS(イエス)と公爵の王冠を被ったM(マリア)とJHP(ヨセフ)のモノグラム。
建物の最上部にある小さな穴は屋根裏部屋の窓で、
白いチューリップ型囲いのバルコニーがある。
その左右横にある2つの鉄のアームは、
大型家具を入れる際に滑車を取り付けてクレーンの様に使った昔の名残らしい。
中央部
建物中央部はクロード・モネの睡蓮をイメージしたかのような
睡蓮の湖面を想起させる水をテーマにしたデザインになっている。
330枚の多色陶器の円盤と組み合わせた、
色付きガラス片の漆喰で覆われた大きな波打つ表面はとても美しい。
バルコニーと窓
バルコニーの手すりは鋳鉄製で仮面のような形をしていて同じものが7つ、
最上階の左側の小さなテラスだけちょっと違う形になっている。
1 階のバルコニーとスタンドの上にある2階の2つのバルコニーには、
らせん状の手すりとモンジュイックの石造りの葉状の構造に埋め込まれたカララ大理石の手すり。
これらには、
落ち着いた花の装飾が施されている。
オーナーだったバトリョの住む2階の窓はかなり大きなもので、
あくびの家と呼ばれるようになった部分。
窓に並ぶ石柱のその独特の形から、
骨の家とも呼ばれていた。
玄関~ホール~階段
正面玄関は地味な造りで、
バルコニーと同様に象牙色と金色に塗られた錬鉄製の扉。
中に入って進むと右手に青と白の格子柄の壁がキレイな階段、
正面はバトリョ家専用の入口。
バトリョ家の入口横には管理人の小部屋、
右手には縦長楕円形の扉が2つの収納スペースの物置。
バトリョ家の入口を進むと、
右手にドラゴンの背骨と呼ばれる波打つ階段がある。
階段を少し上がった先には、
亀の甲羅を模した天窓。
楕円の窓枠はコロニア・グエル教会地下聖堂の椅子にも使われていた、
トネリコと呼ばれる木でできている。
暖炉の間
階段を上がると、
暖炉の部屋。
元々はバトリョ氏の書斎で、
キノコの形をした入口の奥に暖炉がある。
両脇には木製のベンチがあって、
片側が2人掛けで反対側が1人掛けと変則的になっている。
壁と天井一面に施されたモザイク模様には、
金箔が使われている。
反対側の壁には、
貝をイメージしたクロゼット。
サロン
暖炉の部屋の次は、
カサバトリョのメインとも言えるサロン。
グラシア通りに面した大窓を、
内側から見られる。
この窓は左右ではなくて上に開けることができるんだけど、
各窓には窓を持ち上げるケーブルが付いている。
大きな窓の上部のステンドグラスは、
海水の飛沫をイメージしているとされている。
サロンの左右にある扉はアコーディオン式で、
扉を全開して部屋を繋げることができる。
天井は、
アンモナイトのような渦巻き状になっている。
ダイニング
サロンの次は、
アルハンブラ宮殿のライオンの中庭にある柱にヒントを得た一対の双柱があるダイニング。
天井には、
ミルククラウンのようなデザインがある。
テラス
ダイニングルームを出るとテラスで、
この建物の裏側が見られる。
トレンカディスで覆われた最上部が見られるし、
出入口左右にはガラスで覆われた青い穴。
これは、
その下にある地下室へ光を入れる天窓。
奥にはセラミックディスクでつくられたプランター、
錬鉄製の脚に取り付けられた青と白の陶器でできた持ち運び可能なプランターもある。
大きなカーペットのような床は、
色とりどりのタイル。
ライトウェル
直接採光を期待できる仕組みライトウェルの4つの壁面は、
5つの色の濃さが違う青で覆われている。
タイルの数は合計で15,000で、
5段階に変化させている。
これは、
全体が同じ色に見えるようにしたもの。
強い光を受ける上階には光を吸収し易い濃い色調、
光が届き難い下層には反射率の高い白っぽい色調のタイルを貼っている。
明かり採りの窓は上の階ほど小さく、
下の階になるほど大きくなっている。
これは、
部屋に射し込む日差しの均等化を図っている。
階段のガラスのパネルは凹凸あるガラスを用いていて、
その向こうの背景となるタイルの青が揺らぎ目の前に海があるよう錯覚を引き起こす。
この中庭を見渡せる32個の窓の下部にはルーバー ブラインドが付いていて、
窓を開けなくても中庭からの新鮮な空気の流入を調節できる。
上部には、
約30cmの高さのガラス屋根。
屋根裏
元々は建物に無かった屋根裏部屋は使用人のスペースで、
ガウディのリフォームにより新しく付け加えられたもの。
柱を排しラジョーラと呼ばれる地元カタルーニャ産の薄レンガを使って、
漆喰を塗り純白の空間アーチで構成することで暗くなりがちな屋根裏部屋を明るい空間にしている。
ここでもガウディは、
カテナリーアーチを採用している。
屋上
合計27本ある煙突は4つの束にまとめられていて、
表面にはトレンカディスが貼られている。
これらは、
風に揺らめく煙を表現しているかのようだ。
建物正面の屋根の竜の鱗をイメージさせるタイル、
これも間近に見ることができる。
ここは貯水槽が置いてあった部屋で、
現在は小さな噴水が置かれている。
グエル邸やカサ・ミラとはまた異なる屋上、
ココもかなり魅力的だ。
屋上から地下へ
屋上から地下へは階段で降りることになるけど、
この階段を手がけたのが日本人建築家の隈研吾氏。
地中海の光の美しさをイメージした、
アルミのチェーンを見ながら階段を下ることになる。
ちなみに地下まで下りると、
ガウディ・キューブ。
空間デザイナーのレフィーク・アナドールがプロデュースした3分ほどのショーで、
壁・天井・・床がスクリーンとなって360度で映像と音楽が体感できる。
基本情報
![]() | Pg. de Gràcia, 43, L’Eixample, 08007 Barcelona Ver Mapa |
![]() | ・地下鉄: Passeig de Gràcia L3 徒歩1分 ・レンフェ: Passeig de Gràcia 徒歩1分 ・バス: Pg de Gràcia – Consell de Cent 7.22.24, N4.5.6.9, V15 |
![]() | 09:00-22:00 |
![]() | 無し |
![]() | 33€~ ※インフォメーションセンターかWEBで購入 ※割引カードがあってもWEBは対応していない ※4カ月先の月末まで購入可 ※予約時間は9:00-17:45の15分刻み ※一般入場・夜・早朝が選べて更に一般は4種類に分かれている☟ |
![]() | 1時間半くらい |
![]() | 〇 |
![]() | casabatllo |
チケット
カサ・バトリョの入場チケットはいろいろあるので、
別で以下にまとめてみた。
ちなみにナイトツアーは1年中ではなくて、
2025年今現在は3/20までだった。
一般入場 | ナイトツアー | 早朝訪問 | |
料金 | 29€~ | 39€~ | 45€ |
入場時間 | 09:00-18:15 | 19:00-20:45 | 08:30, 08:45 |
予約時間 | 15分刻み | 15分刻み | 2つの時間だけ |
一般入場は更に4種類のチケットに分かれていて、
アクセスできる範囲など当たり前だけど違いがある。
BLUE | SILVER | GOLD | PLATINUM | |
33€ | 38€ | 45€ | 53€ | |
優先入場 | × | × | × | 〇 |
オーディオガイド | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
ビジュアルガイド | × | × | 〇 | 〇 |
メインフロア | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
屋根裏 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
屋上 | × | 〇 | 〇 | 〇 |
拡張現実 | × | × | 〇 | 〇 |
ガウディドーム | × | × | 〇 | 〇 |
ガウディキューブ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
管理人室の見学 | × | × | 〇 | 〇 |
住居空間再現 | × | × | 〇 | 〇 |
キャンセル返金 | × | × | × | 〇 |
日付変更 | × | × | × | 〇 |
こうやって見ると、
屋根まで最低限の見学をするんだったらシルバーということになる。
写真や他の方のコメントを見ると、
アクセスできる範囲を屋上以外で増やす必要はなさそうだ。
基本キャンセルや日付変更ができるようにしておくために、
わざわざプラチナにしなくても良いだろうし。
優先入場と言っても時間指定しているわけだから、
大して待つこともないだろう。
ということで、
シルバーで良い気がする。
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