バルセロナ: ガウディのコロニア・グエル教会地下聖堂

コロニア・グエル教会地下聖堂

コロニア・グエル教会地下聖堂、
Cripta de la Colònia Güell 。

コロニア・グエル

コロニア・グエルはバルセロナ近郊、
サンタ・クローマ・ダ・サルバリョーの繊維工場を中心にした工業団地のこと。

工場で働く労働者たちが職場近くに住めるように、
敷地内に住居や学校や病院などがつくられた。

それは今でも残っていて、
1時間ほどで巡れる。

以前訪れた時は、
コロニア・グエル教会地下聖堂のみで去ってしまったけど街歩きもありかもしれない。

コロニア・グエル教会地下聖堂

礼拝用のコロニア・グエル教会堂の設計は、
ガウディに依頼された。

依頼は1898年だったが、
計画案作成に10年もかかり着工は1908年のこと。

ガウディはこの建築物の設計にあたり、
フニクラという逆さ吊り実験に十年以上の歳月を費やしたためだ。

複数の紐で錘を支える時に紐が作る曲線は、
上下を返せばそのまま建築物の重さを支えるもっとも単純で堅固な柱の曲線となる。

自然や重力と調和した建築物を目指すという彼の考え方をまさに具現した構造設計が、
このコロニア・グエル教会地下聖堂でガウディの最高傑作とも言われている。

未完の教会

ココは上下二つの身廊とその上に異なる側塔、
そして高さ40mの中央ドームを備えた教会を構想していたが未完に終わってしまう。

1914年エウセビ・グエルの子供たちは進行中の工事への資金提供をこれ以上続けないことを伝え、
ガウディはプロジェクトを断念。

1915年半地階部が落成し教会堂として利用され、
その後仮設屋根などがつけられたが1916年に建設は完全に中断。

1955年から教区教会堂となり、
今でも上層は未完成のままになっている。

外観

正直、
あまり興味がなければ一瞬で終わってしまうかもしれない。

バルセロナの街中にあるんだったら良いけど、
往復1時間弱と考えると興味がさほど無いならスルーもありかもしれない。

もちろん自分にとっては、
そういうわけにはいかない場所だけれど1986年の時だけで1990年は訪れていない。

壁面

先ず外観で印象的なのが建物を覆っている壁面で、
素焼きの赤い煉瓦とより高温で焼いた黒っぽい煉瓦。

そして松の木の表面のように見える、
鉄鋼スラグを使っている。

周りと調和されていて、
溶け込むようにしたのだろう。

地上階なのに地下聖堂?

元々傾斜地だったこの土地、
出来るだけ造成や土地を削らず自然な状態で教会をガウディは建てたかったようだ。

なので傾斜の始まる上を教会地上階に、
傾斜が終わる下を礼拝堂としたので地上階にある聖堂部分は地下聖堂と呼ばれている。

教会2階部分

その一般に地下室と呼ばれるほぼ楕円形の平面を持つ身廊には、
放物線双曲面の天井を支える柱とアーチの外部玄関がある。

その天井は上側の身廊と鐘楼と、
建物の西側の階段へと続く主階段となる傾斜路を支えている。

高さ40mになる塔が建つはずだった教会2階部分は現在は、
本来教会の床が礼拝堂の屋根になっている。

石灰岩の石積みは、
教会の入口なる場所だったところ。

途中まで出来ていた換気用の塔に付けられた鐘と共に、
ガウディの弟子達が取り敢えずと付けたもの。

教会の裏側

教会の裏側は、
ステンドグラスを外から見ることができる。

壁は傾斜していて、
魚や A(アルファ)やΩ(オメガ)や Pastor(羊飼い)の P などが立体的に取り付けられている。

ギリシア文字の順番では、
Aは最初でΩは最後。

最初=生から最後=死まで、
魚・羊飼い=イエス・キリストが全てを司ると言うことを指している。  

地下礼拝堂の入口

地下礼拝堂の前にある双曲放物面ヴォールトの柱廊玄関は、
ガウディがこの構造を採用した最初の場所で建築史上初の放物面ヴォールトの例。

天井には聖アンドリューの大きなX字型の十字架、
入口のドア上部にはトレンカディスが使われたモザイク。

白い菱形の中のP・F・Sは、
聖三位一体を表している。

これはカタルーニャ語、
父 Pater と子 Filius と聖霊 Spiritus Sanctus の頭文字。

中央の白い部分は聖母マリアの合わせ文字、
中央最上部の円形にはキリストの磔刑を意味する十字架に火炎が押しかかる様子が描かれている。

更にこの地域で採れる、
さくらんぼ・小麦・オリーブ・椰子の葉。

そしてキリスト教の四大徳と言われる慎重・正義感・堅忍・節制のそれぞれのシンボル、
貯金箱とヘビ・天秤と剣・兜と鎧・パンを切るナイフとワインの瓶が円の中にある。

モザイクの左端の下にある水色の碇は、
希望と誠実それぞれを表している。

壁に目をやると4匹の魚、
これはイエス・キリストの象徴。

ギリシャ語で魚は ikhthus で、
Iesus Khristos Theos Uios Soter = イエス・キリスト、神、子、救世主の頭文字だからだ。

魚の下には、
教会裏の壁にもあったΑ(アルファ)とΩ(オメガ)。

礼拝堂の入口反対側には、
教会が完成していたら階段になるはずだった下に小さな空間。

待合い場所で、
ミサの始まるまでの間やミサの後にベンチに座り世間話や噂話に興じるところ。 

地下礼拝堂内部

礼拝堂に入ると、
フィリピン産の大きなしゃこ貝の聖水盤がある。

教会内部は円形のレンガの柱と玄武岩の柱が交互に並んでいて、
1本として垂直に立っている柱はない。

そして煉瓦造りのアーチが天井を覆っていて、
柱とこの天井が最大の見どころだろう。

祭壇は3つあって中央の祭壇と共に、
左にモンセラートの聖母に捧げられたものと右にサグラダ・ファミリアに捧げられたもの。

主祭壇の左横にある階段を上がると祭壇の裏へ行けるがかなり狭い場所で、
ここは子供達の合唱隊が並んで立ち讃美歌を歌う為の場所。

主祭壇の周りに円形に配置されたトネリコの木を使った椅子は、
ガウディのデザインだけどここにあるのはレプリカ。

礼拝で懺悔する際に前の椅子に手が置けるように、
椅子の後ろに板を設置している。

椅子は2人掛け用で、
お祈りの際に隣の人を気にせず自分の世界に集中できるようにとお互いの体が外側に向くような形。

礼拝堂の正面の右にはモンセラット山の上に本尊がある、
カタルーニャの守護神である黒マリア像。 

モンセラット山麓に住む人々が天からの旋律と共に山の中腹に光が灯されているのを見て、
司祭が光のある洞窟に入るとマリア像が佇んでいた。 

村へ移そうと持ち上げるてもマリア像を動かすことができず、
そこに教会を建てて今に続いていというのが黒マリア像伝説。

色付きガラスで覆われた双曲面状の大きな窓、
この色付きガラスは松ぼっくりをデザイン化したもので開閉式になっている。

基本情報

Dirección Adreça Carrer Claudi, Carrer Reixach, s/n, 08690 La Colònia Güell,
 Barcelona Ver Mapa
Cómo llegar Com arribar-hi ・カタルーニャ電鉄ゾーン1: Colonia Guell 徒歩5分
 ※Colonia Guell は Plaça Espanya からS3.4.8.9線で22分
 ※駅前に出ると足跡のペインティングがあるのでそれを辿って行く。
Horario Tancata 平日: 10:00-17:00
 土・日・祝日: 10:00-15:00
Horario Horaris 1/6.25, 12/25.26, 聖枝祭日, 聖金曜日
Tarifas Tarifes 10€
 ※インフォメーションセンターかWEBで購入
 ※日本語対応音声ガイドありだが1時間30分と長い
 ※10時から30分刻みで最終15時
所要時間Durada 1時間くらい
camera Fotografía 〇
Tarifas WEB gaudicoloniaguell

地図

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