
ベリェスグアルド塔(フィゲラス邸)
ベリェスグアルド塔(フィゲラス邸)、
Torre Bellesguard(Figueras)。
1900-1909年サゲス夫人(フィゲラス未亡人)の依頼により建築、
1916年までいくつかの二次工事が続けられガウディの助手によって完成。
2000年以上の歴史を持つ土地で、
紀元前のイベリア人時代からこの地域には常に人が住んでいたことを示す遺跡が見つかっている。
元々の建物はカタルーニャ・アラゴン王国最後の国王マルティン1世が建てた宮廷で、
コルセローラ山麓の非常に景色の良い場所。
それに因んで詩人ベルナットゥ・メッジャが宮殿を、
ベリェスグアルド(「美しい眺め」の意味)と名付けた。
その時代の遺構が残っていてガウディはそれに合わせてネオゴシック様式で建築したので、
同じ時代のガウディ建築物とは違って直線が多い。
ガウディは家屋・中世の壁の修復・庭園の設計に加え、
サンジェルバシ村から墓地に通じ敷地内を通ってベトレム川を渡る道路の補強高架橋を建設。
この高架橋は、
後にグエル公園で使われることになる象の足の形をした傾斜した柱で構築されている。
正直以前2回訪れた時には、
この建物の存在自体知らなかった。
多分まだ個人宅で、
少し離れた場所にあるしあまり知られていなかったのかもしえない。
一般公開されたのは2018年のことらしいから、
ごく最近の話しだ。
屋外
庭園にはドメネク・スグラニェスのデザインによる、
幾何学模様のトレンカディス陶器で覆われたベンチや装飾品。
噴水の周りに半円形に配置された中央の2つのベンチの中央部分には、
それぞれ2人の天使が描かれている。
1人はカタルーニャの旗の4本の横棒を持ち、
その上にアラゴン王国の王冠を戴いている。
その他には、
バルセロナ伯爵の冠をつけたバルセロナの紋章の聖ジョージ十字架が描かれている。
南西を向いたメイン・ファサードの扉の両側には、
トレンカディスを用いたベンチ。
正面にはマルティ・ルマによるMの文字に包まれたイルカの像で、
その横棒はカタルーニャの国旗にもなっている。
上部には、
王冠が飾られている。
側面には2つの異なる絵があって、
東側には日の出を背景にした帆船とローマ数字でスグラニェスの作品が完成した年1916年の日付。
西側には沈む太陽とマルティン・ザ・ヒューマンの死去の1410年の日付がローマ数字で記され、
モンセラート山が描かれている。
一つ目は海路で王に届いた王位継承者の死に関する知らせ、
二つ目はマルティン・ザ・ヒューマンと共に絶滅したバルセロナ家の衰退に関するもの。
両方のベンチの角には、
フィゲラス家を表す F の文字がある。
建物外観
建物はコルセローラというバルセロナの山の石がメインの建築素材として使われ、
八角形の尖塔の上までは33mでこれはキリストの亡くなった齢を表している。
尖塔の最後の部分はカタルーニャの旗の色の陶器で覆われており、
上部の円錐形に螺旋状に巻かれている。
この上にはマーティンに敬意を表した王冠があり、
その上にはトレンカディスの立体十字架。
その下には細長い窓が7つあって、
更に下には広いバルコニーと小さめのバルコニー2つ。
このバルコニーは、
父と子と精霊の三位一体を表しているようだ。
その下には、
色のついたクリスタル(赤、黄、緑、紫)で作られ八芒星の形をしたステンドグラスの窓。
外側には星空を思わせる、
五芒星のついた青いタイルが敷き詰められている。
これはステラ・マリス(ヴィーナスの星)で、
聖母マリアを意味する。
ステンドグラスの窓の両側には、
尖った上部を持つ2つの細長い窓。
入り口の鉄扉は錬鉄で、
半円の部分には五線紙の上の音符みたいに文字がある。
Ave Maria puríssima, sens pecat fou concebuda という碑文が刻まれていて、
これは『最も純粋な聖母マリアに祈ります、彼女は罪なく受胎した』という意味。
ドアとその上にある窓の間にはベリェスグアルド、
Bellesguard とある菱形のモザイク。
花のモチーフで飾られ、
青・赤・黄色でつくられている。
扉の右の窓には鋳鉄の格子が嵌め込まれ、
その上にはフラワーポットを置くフェンスは槍のような構造。
側面は素材は1つだけど、
排水管も窓枠もすべてが一体化している。
窓を護る鋳鉄も、
窓の形に合わせてシンプルで美しいもの。
ぐるりと1周すると、
かなり楽しそうだ。
内部
建物の内部は白さと明るさは、
外部のスレートのグレーの色調とは対照的なものになっている。
高さ10mのエントランスホールには葉状アーチの偽の丸天井があり、
噴水と22個の三角形の面で形成された多面体の照明。
マリアを表す星形の鮮やかな色のステンドグラスの窓の内側、
マルガリーダ・デ・プラデスの紋章を暗示する龍と鶏の図柄のタイルで作られた階段の手すり。
隅には鐘があり、
壁の片方には聖ジョージが竜を退治する様子を描いた鉄の彫刻の銘板。
そこには神よ守護あれ、
Déu vos guard という碑文が刻まれている。
半地下室には樽型ヴォールトの屋根があり、
その上に半月窓のあるエスカルセルが続きビザンチン様式の柱頭を持つ円筒形の柱で支えられている。
細い階段をあはるとメインフロアで、
コロニア・グエルに似たリブ付きのアーチ型天井が連続した列に配置された柱で支えられている。
寝室とリビングルームには、
ピチョリレンガの複合形状の葉状アーチ天井。
屋根裏部屋は、
レンガがむき出しの一連の葉状の放物線状のアーチ。
部屋の中央には、
アラゴン王のマルティン1世へのオマージュとして王冠を逆さまにしたデザインのシャンデリア。
屋上
屋上には、
ドラゴンの顔のように見える場所がある。
尖塔も間近で見られ、
煙突もいくつか。
景色は素晴らしく、
まさにベリェスグアルド。
ベジェスグアルド高架橋
ベリェスグアルド塔(フィゲラス邸)の脇を通る道の下に見えるのが、
ベジェスグアルド高架橋。
これは、
ガウデイが行ったベジェスグアルド塔の再建工事の一部。
グエル公園で見たものと同じような傾斜柱を、
ココでは見ることができる。
基本情報
![]() | Carrer de Bellesguard, 20, Sarrià-Sant Gervasi, 08022 Barcelona Ver Mapa |
![]() | ・地下鉄: Av. Tibidabo L7・地下鉄: Av. Tibidabo L7 徒歩16分 ・バス: Ronda de Dalt – Bellesguard 123.196, H2 徒歩3分 |
![]() | 火~日: 10:00-15:00 |
![]() | 月, 1/1.6, 12/25.26 |
![]() | 10€ ※10:00-14:00 1時間刻み ※年末12/31まで購入可 ※スマホで聴けるオーディオガイドあり(日本語対応なし) ※ガイド付きツアー 16€ |
![]() | 1時間30分くらい |
![]() | 〇 |
![]() | bellesguardgaudi |
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